poetry#05

#05 棘



僕の手は
細い鎖を握りしめて
すこし 途方に暮れて

君の目は 遙か遠く
蒼い空を
見据え

本当は
答えなんてとっくに出ていた
ただすこし
その手を離すことが
苦しかっただけ

君の夢が花を咲かす場所は
ここではなく
君が勝者になる瞬間
その隣に僕はいない

僕が最後に君に贈るのは
あの果てない空への鍵

ためらいの鎖をほどいて
君だけの翼で
飛び立てばいい

振り向かなくていいよ
僕は最後まで笑っているから
同じ道 進めなくとも
君の幸せを願うから
遠く 遠く

ただ僕はそっと
君の胸に小さな棘を
深く そっと 刺して

いつか思い出に触れた君の指先
小さく そっと 痛んで

僕のことを
思い出してくれればいい


 最後のくだりが書きたかっただけのような。
 作成時期失念